愛知県線香卸商組合編集の、Q&Aでプロがやさしく解説するお香入門書です。
お香の歴史や種類、原材料や楽しみ方など、一通りの知識が身につきます。
また、仏事用お線香の価格帯別の商品紹介や、香りの贈り物の選び方、購入先もご紹介。
お香に興味のある方にとって、入門書にぴったりの一冊です。
単行本(ソフトカバー) ¥1,980(税込)
愛知県薫物線香商組合 総会
日時 令和6年5月23日 午後15:00~
場所 名古屋クラウンホテル
司会 武田商店 武田氏
令和6年5月23日に、名古屋クラウンホテルにおいて、今年度の愛知県薫物線香商組合の総会が行われた。
理事長挨拶では8年間理事長を務めあげることができたこと、新年早々の震災や政治家宅での火災の件に触れ、ますます厳しい状況なので、皆様のお力をお借りしたいと述べた。
会計報告では、菊谷生進堂の菊谷氏より、収入と支出の内訳、繰越金などの報告と、令和5年度会費はすでに全社から徴収済みとの報告がなされた。
監査報告では、法泉堂の近藤氏が、領収書・請求書等の処理が適正に行われていたと報告した。
事業報告では、11月5日のお香文化の日のサンプル配りについて、1000セット配布できたことを報告した。本年度はサンプルの余りがあるが、「サンプル」や「試供品」の表記がないものが多く、表記のないものは配れないため、専用の箱をつくり、箱に「サンプル」などの表記を入れることで対応していくこととなった。
また冒頭で触れた政治家宅での火災の件も踏まえ、組合としても線香の正しい使い方などを啓蒙していく必要があると述べ、パンフレットを事務局である三恵社の協力のもと作成していくと報告した。
役員改正の決議では、現役員でもう一期続投することに決まった。
今後のコミュニケーションのための仕組みを構築できないかとの議題もあがり、LINEやGoogleフォームなど、今後の検討事項とすることとなった。
【各社の近況報告】
●A社
去年のお盆過ぎから動きが鈍くなった。政治家宅での火災の件以降、さらに悪くなり、特に線香が売れていない。今年のお盆の進物も心配している。原料の高騰もつづいており、2~3年でまた値上げを検討しないといけないかもしれない。
●B社
4月決算ではコロナ前の水準に戻ってきてはいるが、1月以降動きが重たいと感じている。決算で一番厳しかったのは原料で、ほとんど輸入なので、為替の影響が大きかった。
今年値上げを検討している
●C社
年末までは売上はよかったが、1月の地震、政治家宅での火災の影響で低迷してきている。
円安や地震などの消費不安も大きいと考えている。今年1年かけて進物線香の価格を見直していく予定。小売りの店を1店舗もっているが、今年梅田にもう1店舗オープン予定。
●D社
お香文化の日のサンプル配りに関して、効果が不透明だと感じている。クーポンを配って店舗来店を促すなどリターンのある企画にしてほしいと思っている。LINEなどの話もあったが、組合で情報共有したり、お客さんにも入ってきてもらい情報発信できるようにしたい。松坂屋さんの外ではなく中でできないかも検討してもらいたい。
価格改定後の動向に関しては、前年対比は悪くはないが、数量ベースでは落ちてきているのが心配。進物は一律で全て上げたところ、かなり落ちてしまったので、元の価格に戻したが結果としてかなり悪くなっている。進物以上に箱もの線香が深刻で、数量がまったく戻らない。政治家宅の火災が大きく影響していると思うので打開策が必要。
近況としては、小売店から小箱がほしいという声が増えているので検討している。また、お盆と春彼岸、秋彼岸などの盛り上がるべきところで盛り上がっていないので、これからお盆が近付いているが、対策をとっていきたい。
●E社
淡路島も堺や大阪と同じく、今年は去年に比べて振るわない状況。淡路島固有の問題として、リゾート化が進み、求人倍率が高くなっていて、人集めが厳しい状況になっている。
それにともない人件費も上がってきている。物価や電気代の上昇も含め、今年はコストとの戦いだと感じている。
●F社
近況としては皆様と同じく厳しい状況。企画もまだ何も考えていないが、今から考えてお盆に向けて頑張りたいと思っている
●G社
お線香の状況は皆様と同じで、値上げの影響だけでなく、地震や政治家宅での火災も含め、今までの風習がなくなってしまっていると感じている。業界全体で需要を創出することを取り組んでいかなければと思う。火災の影響で安全性が高い商品の問い合わせは増えているので、使わなくなるより安心安全につながるようなものを考えていきたい。進物線香は値上げをしなかったのでよく売れてはいるが、利益率が低い商品なので厳しい状況。進物で貰いすぎても線香の需要がどんどん減ってしまうので、量が少なくて質がいいものを検討している。
●H社
昨年4月に値上げ、秋に進物線香の仕様変更を行った、皆様と同じように1月以降厳しい状況が続いていて、お盆の動きも不透明。少ない人数でも生産できるよう効率化を進めると同時に商品の種類も精査していく取り組みをしている。インバウンドの増加など悪いことばかりではないので、知ってもらうための情報発信をしていかなければ感じている。
●I社
線香は皆様と同じような状況。傾向はあると思うので、それを把握するために、サンプル配りの際に「どんな香りが気に入ったか」などのアンケートをするなど、この状況をどう打開するかだと思う。進物自体は減っているが、もともと進物用ではなかった商品が進物として選ばれていて、そういった商品群は伸びている。そのような商品をどこで買うのか、どのようにオススメしていくのか検討の必要がある。インバウンドに関して、外国人向けにお花の香りなど、いくつか商品を出したが、結局選ばれているのは日本の香りだということが分かった。
●J社
昨年4月に値上げしたが、商品の回転が遅いため、資材をリピートした時に、再度資材が値上げという状況が続いている。箱屋さんの納期が遅くなってきていたり、箱屋さんの廃業や紙などの廃番も増えてきたりしている。代替品を探すのに苦労している。
●K社
資材関係が値上がっており、現状維持していくのが厳しい状況。
●L社
ある住職が、ひと昔前と比べると、全国の住職の数は3分の1になっている言っていた。寺や檀家が少なくなっているなかで、嘆いてばかりいても仕方がないので、インバウンドなり新たな道を見出していく必要がある。ある意味消費者の方が我々の考えつかない使い方をしていて、それがSNSなどで爆発的に拡散される時代になっている。去年と同じものを去年と同じ分だけといった売り方が通用しない時代だと感じている。
●M社
線香はお寺など事業所、一般家庭、インバウンドの大きく3つの需要に分けられる。お寺からみると線香は経費になるので、あまり値段の大小は気にしていない印象。一般家庭ではせいぜいお墓参りとか、お盆やお彼岸など、毎日使うのもでもないのが一般的。使うきっかけを与えて買わせる工夫を考える必要があると思う。インバウンドにはまずは知ってもらうためにサンプルを配るのもありかもしれない。
●N社
近況としては、社屋を改装して、気持ちを新たに店舗の営業再開の準備をしているところ。
物価だと為替だとかの影響で原料や資材が高騰していく中なので新しいものを考えていかなければいけないと考えている。
●O社
3~5月が度を超えた落ち方をしているので、心配している。政治家宅での火災の件が度々でてきているが、火を使うものが昔からある程度危ないのは当たり前のことなので、それを面倒くさいことをやらなくていい言い訳の材料になってしまっている印象を受けている。
なので啓蒙だけで済む話なのかを心配している。宗教の方は上がっていく要素が見えない中、その業界におんぶに抱っこでいいのか。アロマ業界は好調なので、香りで活路を見いだせないか。進物は使い切れない、たまっている状況のなか、それをマスコミに取り上げられ「進物は嫌がられる」などのイメージがつかないか心配。使いきれる量の方がいいというイメージづくりをメーカーさんや組合でつくっていきたい。
●P社
物価高で、生活必需品で手いっぱいでお線香は買えないという人が増えていくんではないかと心配している。
●Q社
昨日まで売れていたものが売れなくなったり、売れなかったものが売れるようになったり、仕入れが読みにくくなっている。親子3代で来店されるなど消費行動が変わってきている気がする。儀礼的な使い方ではなく趣味でたく人が増えてきている印象。特に東京の店舗は7割が趣味での購入。コロナの時に店舗を閉めた際に気づいたこととして、寝る時にこれがないと寝れないなど、必需品として線香をつかっている方がいるので、そういった方向けの商品もメーカーさんに検討いただきたい。
●R社
和ろうそくをメインで取り扱っている。石川県七尾市のメーカーは被災したが、幸いすぐに生産を再開できたが、街の復興はまだまだ厳しい状況。和ろうそくを少しでも多くのお客様に届けることが最大の支援になると思い取り組んでいる。
1月の火災の影響だと思うが、寝かせる線香皿、不燃マットなどがあきらかに売れてきている。
●S社
和ろうそくは原料が少なくなってきているし、夏が暑すぎて製造でも工夫が必要で、お客様の保尊方法など課題がある。お香に関しては、いろんな香りを使いたいという人が増えてきていて、そういった人にはたくさん入った線香は向かない。ハロウィン、クリスマス、父の日、母の日など季節のイベントごとに香りのプレゼントをするということを訴求していきたい。